SSP工法(液状化対策)

大地震発生時には多量の地下水が砂を伴って吹き出す液状化現象が見られ、建物の傾斜や転倒が起こります。かつての新潟地震(1964)や記憶に新しい阪神大震災(1995)、鳥取県西部地震(2000)でも液状化による被害が見られ、その対策が急務であるとされました。現在、主な液状化対策工法には締固め工法、ドレーン工法、固結工法がありますが、いずれも

  1. 騒音や振動を伴うので市街地施工に適さず、細粒分含有率が15%以上あれば改良効果に難(締固め工法)
  2. 地震発生時に上昇する間隙水圧を消散させるが、やはり 細粒分含有率15%以上であれば改良効果に難(ドレーン工法)
  3. 一般的に多大な費用が必要(固結工法)などの問題点を抱えていました。

これに対しSSP工法は、

  • 吸水・膨張・硬化作用を持つ生石灰系固化材を地盤中に群状及びパイル状に充填する。
  • 周辺地盤内の間隙を縮小し、せん断力を向上する。
  • 自硬作用によってパイルにも強度を付与する。
  • 複合地盤としての地盤改良効果をもたらす。

などの特性を発揮します。細粒分の多い地盤に有効であり、液状化に対して抵抗の大きな地盤を形成します。

SSP工法での設計法

以下の各項目についてのデータ検討を行います。

(1).現地地盤調査結果の検討
N値、Fc(細粒土含有率)、γ(単位体積重量)、粒度分布、地下水位、K値など

(2).液状化発生の危険度について
●M(地震のマグニチュード)、
  αmax(設計用水平加速度Gal)
  に応じた繰り返しせん断応力比の計算
●液状化抵抗比の計算
●FL(液状化安全率)の計算
(3).液状化対策が必要な範囲、深さの決定
(4).SSPの仕様(膨張率、強度、パイルピッチ)の決定
●改良後のN値(N´)、パイル強度
●改良後の液状化抵抗比の計算
●FL≧1となる仕様の決定

現場に合わせてパイルの強度・膨張率を設定

SSP工法では特殊な石灰系固化材(TL-30系)を用います。この固化材は目標とする性能に応じて、あらかじめ強度と膨張率を設定し、厳格な品質管理のもとで工場生産されます。材料は粉粒体で、施工性を考慮してケーシングからの抜けのよさをとくに考慮してあります。

地震の規模・重力加速度を想定した施工例

目的:地盤液状化の防止(M=7.5、αmax=200Galと想定)

特許の取得

SSP工法は地盤液状化の抑止工法として下記の特許を取得し、工法上の独創性・有効性が認められています。

運輸大臣評価

「港湾に係る民間技術の評価に関する規定」に基づいて行った液状化対策工法の申請に対し、
複合的な地盤改良工法であることが評価されました(1999年)。
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